幼馴染と相場を学ぶ日々:第2話「急がば回れ」

幼馴染と相場を学ぶ日々

経験しなければ分からないこと

幼馴染が長年勤めた会社を辞め、FXの専業トレーダーとして歩み始めてから、およそ一ヶ月が過ぎました。手元には、決意とともに用意した10万円のトレード資金と、一年分の生活費があります。彼はスキャルピングトレードで「一日10pips、月間200pips」という目標を掲げ、毎晩、私とPC画面を共有しながら、実際の相場を通して学び続ける日々を送っていました。もしこの一年で、FXだけで生活できるだけの収入を得られなければ、彼は新たな職を探さなければなりません。その期限は、一日一日と近づいてきます。この一ヶ月間、彼はスキャルピングトレードの厳しさを前に、言葉を失っていました。

朝から晩まで、ひたすらチャートに張り付き、わずかなチャンスをうかがい続ける。負けても気持ちを切り替え、淡々とトレードを繰り返す。それがどれほど大変で、精神的に追い詰められる行為なのかを、彼は身をもって学んだのです。今思えば、彼がこの一ヶ月で得たものは、とても大きかったように感じます。長年FXに向き合う私の姿を見てきた彼は、その道のりが決して簡単ではないと想像していたはずです。しかし、その現実は彼の想像をはるかに超えていました。私もこれまで何度となくFXの難しさを伝えてきました。それでも、聞いているのと実際にやってみるのとでは、感じるものがまるで違い、自分自身で経験して初めて、本当の意味で理解できることなのだと、改めて感じました。

高すぎる壁

初心者にとって、「一日10pips」という壁がどれほど高く、そして「月間200pipsを12ヶ月間達成し続ける」という目標がどれほど険しいものなのか。幼馴染は実際にFXと向き合う中で、その厳しさを痛感しました。しかし、一年後にFXだけで生活していくのなら、何が何でもこの目標を達成しなければなりません。ですが、あまりにも高すぎるハードルは彼の精神面に大きな負担をかけ、ついに体調を崩してしまいました。私自身も、スキャルピングトレードの難しさは身をもって体験してきました。特に右も左も分からない初心者にとっては、無理難題と言っても過言ではないでしょう。もちろん、スキャルピングトレードで勝つことが不可能だとは言いません。相当な覚悟を持って取り組めば、初心者であっても、一年という限られた時間の中で目標を達成することは可能だと思っています。

選び直す勇気

しかし、幼馴染の精神面と体調面を考慮し、私はこのままスキャルピングトレードを続けることはやめ、デイトレードへの転向を提案しました。そして、デイトレードへ転向するにあたり、私は一つの手法だけに絞り、徹底した資金管理のもとでトレードを行うことを強く勧めました。そうなるとトレード回数は大きく減ってしまいますが、「急がば回れ」という言葉があるように、今は焦らず土台を築くことを優先したほうがよいと考えたのです。ただし、トレード回数が減れば、その分、資金が増えるまでには時間がかかります。一年という期限を考慮すると、10万円という資金では、専業トレーダーとして生活できる水準に到達することは極めて難しくなります。

スキャルピングトレードかデイトレードか。幼馴染は現実と向き合った末に、デイトレードを選択しました。そして、トレード資金を50万円まで増やすことを決めました。彼は万が一に備え、トレード資金の10万円と一年間の生活費とは別に、150万円の資金を準備していました。そこで、その150万円の中から40万円をトレード資金に加算し、合計50万円のトレード資金でデイトレードに挑むことになったのです。厳選した手法と徹底した資金管理のもと、淡々とトレードを続けていく。それができれば、一年後に必要最低限の収入をFXから得るという試算は、決して非現実的なものではありません。私は、挑戦する価値のある目標だと考えています。

相場に導かれて

幸か不幸か、この一ヶ月間の前半、幼馴染が体調を崩すまで、ドル円相場のボラティリティは高くありませんでした。ですが、幼馴染が体調を崩したちょうどそのタイミングで、相場にボラティリティが出始めたのです。彼が体調を崩してからは、共に相場を見ることはありませんでした。私は、ボラティリティの低い相場ほど、スキャルピングトレードの難易度は上がると感じています。もし、ボラティリティが高い時期に始めていれば、スキャルピングトレードへの印象も変わっていたかもしれません。それでも、スキャルピングトレードそのものが、決して簡単なものではないため、いずれデイトレードに変える決断をするのであれば、早いに越したことはないと考えます。だからこそ、今回デイトレードへ移行するという決断は、結果的には良い選択だったのだと思います。相場がそのように導いてくれたのかもしれません。

振り返る時間

今後は、毎晩行っていたリモートでのPC画面共有と相場観察を、毎週月曜日の夜に一度だけ行うことにしました。その時間には、前の週に行ったトレードを、勝ったものも負けたものも含めてすべて振り返り、検証します。そして、その学びを次のトレードに活かしていこうと考えています。もしトレードをしなかった週でも、一緒に先週の相場を振り返ります。「俺ならここでトレードしたよ。」そんな分析を共有しながら、お互いの視点を広げる時間にしたいと思っています。

ひとまずは一週間、互いにしっかりと相場と向き合い、一週間後の月曜日にその結果を話し合うことになります。このやり取りを一ヶ月間続けることで、幼馴染の心境がどのように変化するのか。実際にトレードを続ける中で、何を感じるのか。トレードを検証し、改善点を見つける。「ここはこう考えたほうがいい」「ここはこう捉えたほうがいい」。そんな具体的なやり取りができればと考えています。

積み重ねた先に

同じ手法を一貫してやり続けることで、その手法の精度は上がっていきます。そして、その手法を自分のものにすることができれば、FXの世界で生きていくための大きな武器になります。もちろん、その年その年で相場の景色は変わるため、一概に100%大丈夫とは言えません。しかし、日々のトレードを見直し、検証し、改善できる技術があれば、様々な相場環境に対応できるトレーダーになれると私は信じています。

必要なのは、手法と資金管理、そして決めたルールを守り続けることです。まだまだ道のりは長いですが、一歩ずつ積み重ねていけば、幼馴染は専業トレーダーとして生きていける場所へたどり漬けると思っています。

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